転倒、衝突、事故などで、顔や口、歯、顎などをぶつけた時に、打撲や外傷などの強い力が加わり、様々な怪我や病気を引き起こすことがあります。
そのような時の緊急、救急の対応として、患者様が知っておくことで、のちの症状、予後が大きくかわる事柄があります。
転倒などによるお口の怪我は
- 全身の診断(医科)
- 頭部の診断(医科)
- 顔面の診断(医科、歯科)
- お口の外、中の周辺の診断(医科、歯科)
- 歯の診断(医科、歯科)
という順番で注意を払う必要があります。
医科で、まず、出血に対する処置、気道の確保、脳、頭部、眼科、耳鼻科でのチェックを終えて、あるいは、並行して、それから、歯科口腔外科の診断治療が流れになります。
特に、頭部の外傷は様々な合併症や重篤な症状を引き起こすこともあり、また、医科での診断処置が最優先です。
ここでは、3以下の歯科での治療について説明します。
- 顔面の診断(医科、歯科)
顔面や顎をぶつけた時に、起こる外傷には主に、皮膚などの軟組織の損傷、顎顔面の骨折などがみられ、皮膚の損傷と骨折の両方が認められる複雑骨折、あるいは、皮膚の損傷のない、単純骨折などの診断をします。
*一般的に理解されている複雑骨折とは、骨が複雑に骨折してしまっている、粉砕骨折といい、これと誤解、混同されていることが多くあります。
骨折の部位、種類としては、
- 鼻の骨
- 下顎の骨
- 上顎の骨
- 頬の骨
などが挙げられます。
- お口の外、中の周辺の診断(医科、歯科)
口元をぶつけた時に、起こる外傷には主に、皮膚、口腔粘膜などの軟組織の損傷、顎、歯の骨折などがみられ、皮膚、口腔粘膜の損傷と骨折の両方が認められる複雑骨折、あるいは、皮膚、口腔粘膜の損傷のない、単純骨折などの診断をします。
*一般的に理解されている複雑骨折とは、骨が複雑に骨折してしまっている、粉砕骨折といい、これと誤解、混同されていることが多くあります。
骨折の部位、種類としては、
- 下顎の骨
- 上顎の骨
- 頬の骨
上顎と下顎の骨折頻度の高い部位
などが挙げられます。
- 歯の診断(医科、歯科)
口元をぶつけた時に、起こる歯の外傷には主に、口腔粘膜などの軟組織の損傷、顎、歯の骨折、脱臼、歯冠。歯根の破折などがみられ、それらの診断をします。
歯の外傷の部位、種類としては、
- 歯の破折
- 歯根の破折
- 顎の骨(歯槽骨)
- 歯の脱臼(歯髄、歯根膜の断裂)
などが挙げられます。
歯科・歯科口腔外科での治療について
症状
- 歯がグラグラする
- 歯が痛い
- 歯が黒くなってきた
- 歯が飛び出ている
- 歯が抜けた
- 歯が割れた
など
検査
- レントゲン(パノラマレントゲン、デンタルレントゲン、頭部レントゲン、正貌、ウォータース、咬合法など)
- CT
- 温度診
- 電気歯髄診
診断
- 歯牙破折
- 歯根破折
- 外傷性歯根膜炎
- 歯牙脱臼
- 顎骨折
- 歯槽骨骨折
- 歯肉粘膜裂傷
治療
先ずは必要に応じて、止血、感染予防、疼痛のコントロールのための投薬、顎、歯の整復処置を行う
- 歯牙破折
破折部位により、修復治療、補綴治療、保存治療、根管治療、抜歯治療を行う
- 歯根破折
破折部位により、修復治療、補綴治療、保存治療、根管治療、抜歯治療を行う
- 外傷性歯根膜炎
症状により、整復固定治療、修復治療、補綴治療、保存治療、根管治療、を行う
- 歯牙脱臼
症状により、整復固定治療、修復治療、補綴治療、保存治療、根管治療、を行う
- 顎骨折
症状により、観血的、非観血的整復固定治療、を行う
- 歯槽骨骨折
症状により、観血的、非観血的整復固定治療、を行う
- 歯肉粘膜裂傷
症状により縫合などの止血治療、デブリードメント(創部の壊死、感染、汚染組織の除去)を行う
予後
- 歯牙破折
修復治療、補綴治療、保存治療、根管治療、抜歯治療などで回復できます。
- 歯根破折
修復治療、補綴治療、保存治療、根管治療、抜歯治療などで回復できます。
- 外傷性歯根膜炎
整復固定治療、修復治療、補綴治療、保存治療、根管治療で回復できます。
- 歯牙脱臼
整復固定治療、修復治療、補綴治療、保存治療、根管治療で回復できます。
- 顎骨折
観血的、非観血的整復固定治療で回復できます。
- 歯槽骨骨折
症状により、観血的、非観血的整復固定治療で回復できます。
- 歯肉粘膜裂傷
症状により縫合などの止血治療、デブリードメント(創部の壊死、感染、汚染組織の除去)、抗生剤の投与などで、きれいに回復します。