■妊娠中のお口の健康
妊娠期間中は、お口の健康を特に注意しなければいけない特別な時期です。妊娠中の女性は、お口の管理や食習慣に特に気を使う必要があり、専門家による歯のケアーが必要です。
それらの手段は、根本的なお口の健康を形作ります。それは、妊婦のお口の問題を防ぐだでけなく、お腹の中の赤ちゃんの全身、それから歯科的な健康を決定する助けとなります。
■お口の衛生
妊娠中は、歯科的問題が大きくなりやすいので、特に歯の健康に注意する必要があります。
多くの人々は妊娠中は、歯を失うものと思っています。これは正しくありません。虫歯は、エナメル質の脱灰が繰り返されているもので、妊娠によるものではありません。
虫歯の始まりは、歯の表面で常に形成されています。有害な細菌の目に見えない頑固な歯垢によっておこります。それらの細菌は、砂糖やでんぷんといった炭水化物の発酵によって、歯を溶かす酸を作ります。物を食べてから20分以上たつと、歯の表面を溶かし始めます。もし、頻繁に砂糖の入っているスナック菓子等を食べ続けると、一日中歯は溶かされている事になります!
歯の喪失を避けるために必要なことは、一日に2回の徹底的な歯磨きをすること、歯間クリーナーやフロスで毎日きれいにすることです。その際も、歯科医や衛生士に歯磨きやフロスの正しい使い方をお尋ねください。
■歯肉炎
歯についた歯垢を放っておくと、歯肉を傷つけ、赤くなって出血しやすくなります。この状態が歯肉炎とよばれ、これは歯を中心に歯ぐきや歯の周りの骨にまで影響する深刻な歯周病を引き起こす原因となるといっても過言ではありません。
また、妊娠中の歯肉炎は、赤ちゃんのホルモンのレベルにまで影響を及ぼします。このホルモンの増加は歯垢の刺激による歯ぐきの反応の現われです。忘れてはならないことはホルモンレベルの変動ではなく歯垢が歯周病の大きな原因であるということです。もしホルモンの変化がおこっていても歯や歯ぐきの周りをきれいにすることでそれは防ぐことが出来ます。徹底的なフロスとブッラッシングで歯垢を取り除き、栄養の良い食事をとることでお口の健康を保つことができます。
妊娠中の9ヵ月間にどういったものを食べるかということはお腹の子供の発育にも影響します。子供の歯(乳歯だけでなく一部の永久歯も)は妊娠3ヵ月から6ヵ月ごろからすでに形成され始めるので十分に栄養(特にビタミンA,C,D、タンパク質、カルシウム、リン)をとることが大切です。
妊娠中、母体の歯からカルシウムが奪われると言うのは迷信です。子供に必要なカルシウムは食事から供給されるのであって歯からではありません。もし食事からのカルシウムが不十分であっても、骨からその成分が供給されます。
■毎日の食生活
バランスのいい食事をとることは、あなたにもお腹の赤ちゃんにも正しく栄養をとるために必要なのです。毎日の食生活において、以下のような食物が妊婦に勧められます。
・ミルク、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品を3種類
・肉、とり肉、魚を2〜3種類
・6種類以上のパン、コーンフレーク
・3種類以上の野菜
・2種類以上のフルーツ
妊娠中、多くの妊婦が間食をとりたがります。これは、普通の事ですが頻繁に炭水化物の多く含まれるものをとると、歯が溶かされる原因となる酸が作られ、その結果虫歯になってしまいます。ですから、歯を守る唯一の方法は間食をした後は必ず歯を磨くことです。
■専門家による歯のお手入れ
問診の時に歯科医師に妊娠中や妊娠しているかもしれない、もうすぐ妊娠する予定であるといったことを告げて下さい。それから医師から何か言われていることや服用している薬などもあれば告げてください。これは、歯科医師が治療に最適な時期や方法をきめる助けになります。また、治療計画についても相談にのります。
妊娠中でも半年に一度の定期検診は受けてください。この時期でも歯石の除去などの緊急の処置ではないようなものはもちろん可能です。しかし、妊娠初期の3ヵ月間は何らかの理由で、治療を避けたほうがいいといわれることもあります。もし流産をしたことがある場合、流産する確率が高くなったりすることもあるので、延期したほうがいいといわれることがあります。
臨月のときは、長時間診療台に座ることは無理でしょう。この時期は治療は避けたほうがいい時期です。治療を受けるのが可能な時期は妊娠4ヵ月から6ヵ月がベストだといわれています。
■お薬
通常歯科治療に際しては薬や麻酔が、無痛治療に用いられます。そのときは、医師に歯科医師が対診することもあります。治療後に薬が必要であるときは、どんな薬が安全かをきめることができます。もし、薬の妊娠への影響などについて疑問がある場合は、歯科医師か、かかりつけの産婦人科医にお尋ねください。
■レントゲン
レントゲンは歯科治療において、虫歯や歯周病などの問題を診査するのに必要不可欠なものです。歯科用レントゲンにおける被爆の問題は範囲が狭く、また放射線の量も日常生活におけるテレビや太陽光線と同じレベルのものなので、ほとんど無視してもいい程度のものです。しかしながら、万全を期すために防護エプロンと呼ばれる鉛入りエプロンを着け撮影されるのが一般的です。